金剛城寺
こんごうじょうじ □兵庫県神崎郡福崎町
静寂の地に佇む、1400年以上の古刹。
新西国三十三所の第30番札所、金剛城寺は姫路市の北、福崎という山間の町にあります。以前に七種の滝という名瀑を訪れたことがあったのですが、その滝と密接に関わりのあるお寺。山号も七種山なのです。まさにその滝に向かう道脇にあり、当時は全く気にしなかったお寺なのですが、今回訪ねてみて初めてその魅力に気が付きました。金剛城寺はかなりの歴史を持つ古刹であり、長い年月の重なりの中で翻弄されつつも、今この場所で静かに佇んでいます。
何度も火難に遭い、繰り返した盛衰。
創建は597年と伝わり、1400年以上の歴史を有しています。聖徳太子の命を受けた恵灌法師という高麗の僧により、現在地よりももっと山中で開創されました。当時は滋岡寺と称したそうです。その後何度も火難に遭い、盛衰を繰り返したこの寺は、金剛城寺、作門寺、そして再び金剛城寺と寺号を変えて時代を超えてきました。明治時代の廃仏毀釈により山の中腹にあった寺地は国に没収され、現在の地に移転してきました。その時はなんとか寺宝を守らんと、信徒自らの手によって諸堂や諸仏を移したそうです。
森から流れ出てきた、潤いの空気。
午前中の早い時間帯に到着した時には、境内には誰ひとりとしていません。小高い山を背に粛然とした境内には、周りの森から流れ出てきた潤いの空気が満ちています。古びた山門をくぐると、正面には大きな瓦屋根が特徴的な本堂が構えています。明治時代の再建だそうですが、それ以上に年月を経たように見えるのは、今日のようにあまり人が訪れないがゆえの寂寥感かもしれません。
境内はそこまで広くなく、平地が半分ほど、あとの半分は背後の山の斜面地になります。いくつかのお堂はその斜面地に建てられていて、苔むした石段を上っては巡ります。中には古びた、しかし立派な石垣もあります。それらの小径は入り組んでいて、ちょっとした迷路のようです。
俗世から距離を置き、静寂の中に。
しかしとにかく静かなお寺です。つい先日春を告げた見慣れない花々も、どこかひっそりと身を隠すように咲いている気がします。時が止まった境内では、鳥の囀りだけが時計のネジを動かしています。観光客がたくさん訪れる有名な寺ももちろんその魅力があるからでしょうが、金剛城寺のように俗世から距離を置き静寂の中に佇む寺こそ趣きがあると思います。
山中に残された、1701年再建の山門。
そして金剛城寺の存在の象徴となるのが、今も七種山の山中に残されている昔の山門です。七種の滝の近くにあり、往時を偲ばせる唯一の遺構です。江戸時代の1701年に再建されたその山門は、寺が麓に移転した際に留め置かれたもの。そばには苔に蒸した石垣が残り、鎮守であった七種権現社が鎮座します。あまりにも神聖に感じられる空気があり、金剛城寺を訪ねる際は是非とも合わせて見ておきたい歴史の証左です。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 金剛城寺 |
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所在地 | 兵庫県神崎郡福崎町田口236 |
問い合わせ先 | 0790-22-0014 | 金剛城寺 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | https://kongojyoji.sakura.ne.jp/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/金剛城寺 |
食べログ | - |
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