誓願寺
せいがんじ □京都府京都市
控えめで静かな、芸能上達と女人往生の寺。
新京極通に面して山門を構える誓願寺。無数にある京都の社寺の中ではそれほど知られている寺ではありません。賑やかな新京極商店街にあっても境内はひっそりしていて、訪ねてくる観光客もまばらです。私も誓願寺が新西国三十三所にも選定されていると知らなければ、ひょっとしたら訪ねることはなかったかもしれません。実際に誓願寺を訪ねてみても正直なところ、他の名刹と比べるとあまり印象深くない感想でしたが、でもよく調べてみるととても奥が深いお寺なのでした。
清少納言や和泉式部も帰依した、女人往生の寺。
誓願寺の創建は古く、天智天皇の勅願により奈良にて667年と伝わります。平安時代には清少納言や和泉式部も帰依したことから、女人往生の寺とも呼ばれました。何度か遷移した後、豊臣秀吉の命により現在の地に移ってきたのは1591年。その時は広大な敷地を持ち、江戸時代中期まで隆盛を誇っていたといいます。ところが3度の火災や幕末の戦乱で寺勢は衰え、明治時代初頭に行われた新京極通の整備のために境内の大半を京都府に没収されます。当然簡単に語ることのできない様々な事情もあったのだと思いますが、今から思えばかなり強引な政治です。
静寂を噛み締めるような、本堂内の時間。
いずれにせよ現在の誓願寺の形となって、繁華街のど真ん中に取り残されたように佇んでいます。本堂は巨大なものですが、1964年に鉄筋コンクリート造で再建されたもので風情は感じられません。ほかに境内には北向地蔵尊の小さなお堂と鐘楼が目立つ程度。人影もまばらで、ひっそりとしています。
本堂の中には靴を脱いで入っていくことができ、並べてある椅子に腰掛けてしばらく時間を過ごしてみました。それは、静寂を噛み締めるような時間でした。本尊の阿弥陀如来坐像は鎌倉時代から南北朝時代のものと見られています。元々は石清水八幡宮に安置されていたもので、明治2年に誓願寺に移されて本尊となったそうです。とても大きな仏様で、ふくよかな体と優しい顔立ちが特徴的です。
京都の古刹の歴史、奥深さをを感じる。
また誓願寺は芸道上達の寺として信仰を集めるお寺でもあります。京都で江戸時代から活躍していた舞踏家たちの間では和泉式部信仰があり、かつて和泉式部が仏門に入った誓願寺はまさに芸のために祈る寺であったのです。また江戸時代に誓願寺の住職が笑話集『醒睡笑』を著したことから、落語発祥の寺とも言われています。今でも若手芸人の練習会が催されたりしているのだそう。境内には扇塚があるのも、そのような特色をよく表しています。控えめで静かなお寺ですが意外なところで強力な個性を持っているあたり、やはり京都の古刹の歴史、奥深さをを感じるのでした。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 誓願寺 |
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所在地 | 京都府京都市中京区新京極桜之町453 |
問い合わせ先 | 075-221-0958 | 誓願寺 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | https://www.fukakusa.or.jp/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/誓願寺 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298564-d1386095-Reviews-Seiganji_Temple-Kyoto_Kyoto_Prefecture_Kinki.html |
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