石峯寺
しゃくぶじ □兵庫県神戸市





静謐な古刹を満たす、風流なモミジの世界。
春の山は淡い水彩画のように、たくさんの種類の緑色に包まれます。まさに今日の朝に芽吹いたような薄い緑色、春先から日光を受け始めた少しベテランの緑色、冬を越してきた深めの緑色。さまざまな緑色が共存する4月の山は、実はこの季節にしか見られない春の風物詩でもあるのです。人々が桜の花に酔いしれている時に、山の木々は粛々と新緑を芽吹かせ、ふと花の酔いから目醒めた時にはこうして突然に現れた春の山に驚かされるものです。あるいはまだ、その新緑の中にも花を咲かせいる木もあります。

さまざまな緑色が共存する4月の森は、実はこの季節にしか見られない春の風物詩でもある。
里山の景色の、真ん中を貫く参道。
そんなカラフルでふわっとした春の山並みをドライブしながら、たどり着いたのは神戸市北区の古刹、石峯寺。幹線道路から少し入るだけで一気に長閑な田園風景が広がる、里山のお手本のような場所にあります。小さな集落を抜けたところに山門があり、そこから真っ直ぐに山道が伸びています。やや上り坂になっていて、景色の真ん中を貫く参道がとても絵になります。これはある意味、なかなか他では見られない絶景です。
境内の西側にある駐車場に車を停め、正面に回り込んで境内に入ります。石段の脇に4基の石灯籠があり、そのかなり古びた表情が印象的です。右側に小さな櫓があり、左側には小ぶりな鐘楼があります。境内は丁寧に整備されていますが、どこか住宅の庭のような雰囲気もあります。正面には本堂が控えています。この春に芽吹いたばかりの緑葉に包まれた、慎ましやかな本堂です。お参りをしつつ堂内を見渡すと、格子の向こうの内陣に動く僧侶らしき影が見えます。この静かな世界で、毎日変わらず行われている営みが感じられます。

境内から少し離れたところに建つ仁王門から、まっすぐ伸びる参道。景色の奥には本堂の瓦屋根が見える。


仁王門から境内まで参道は250mほど続く。


大正時代に再建されたという仁王門。


右に鼓楼、左に鐘楼が建つ石峯寺の正面。


そのまま正面中央に本堂が佇む。
重要文化財指定の、三重塔と薬師堂。
本堂の手前、向かって右側にあるのが薬師堂。室町時代に再建された非常に歴史ある建物で、国の重要文化財に指定されています。そして薬師堂の奥に、石峯寺にあるもうひとつの国の重要文化財、三重塔があります。こちらも室町時代建立のもので高さは約25m、やや色褪せた、しかし美しい朱塗りが印象的な塔です。そして石峯寺の極めて静寂な世界、そこに相応しい風格を湛えている美しい建築です。書き忘れていましたが、この石峯寺の歴史はとても古く、開山は651年、最初に薬師堂が建立されたのが747年とされています。今のこの時代でもなかなか訪ねないようなこの場所で、もう1400年近くもの年月を積み重ねてきたことを思えば、流れてゆく時間というのはとても早い何かのような気がしてきます。それはなんだか不思議な感覚です。

本堂の手前右側にあるのが薬師堂。室町時代に再建された建物で、国の重要文化財に指定されている。


境内の新緑が美しい。


本尊延命地蔵菩薩を安置する本堂。


高さ24.4mもある三重塔(重要文化財)。


室町時代に再建された貴重な建築物。
新緑の青モミジに、春の陽光が降り注ぐ。
さて、石峯寺でもっとも魅力的に感じたものがあります。それは周りの山々と同じくして新緑を芽吹かせた、生まれたばかりの青モミジです。優しく降り注ぐ春の太陽に、透き通らんばかりに淡い緑色のモミジ。ほの暗い境内の中で明暗を浮かび上がらせ、吐息が漏れそうなほど美しい光景です。これが一斉に紅葉すれば…。境内には約200本のモミジがあるそうで、三重塔との共演は特に美しいと人気だそうです。秋になれば紅葉の名所を探して巡っていますが、訪ねてみるまで知らなかった、穴場の紅葉名所と言えます。さっそく次の秋を楽しみにして、再訪したいと思います。

三重塔の裏にある小さな方丈池。中央には亀らしき形の岩に観音様が立つ。


本堂から振り返って境内を眺める。


鮮やかな新緑が眩しい。


宝形造、本瓦葺の本堂屋根は重厚感がある。


内陣と外陣を格子戸で仕切られた本堂内。
想像していた以上の紅葉が、そこにはあった。
そして1年後の秋に、あらためて石峯寺を訪ねました。もちろん紅葉が美しい季節です。あの時見た眩いばかりの新緑は、果たして見事なまでに鮮やかに色づいていました。境内では随所に絵の具を落としたような紅色のモミジが見られ、古びた堂宇との協奏は風情に満ちています。特に三重塔の周りは圧巻。想像していた以上の光景が、そこにはありました。しかもどれも一様に色づいており、一気に紅葉したことがうかがえます。紅葉って、量よりも質なんだなと思えた絶景でした。

古びた堂宇との協奏は風情に満ちていて、特に三重塔の周りは圧巻。想像していた以上に美しい紅葉だった。


赤に赤を重ねたような、鮮やかな紅葉。


見るも鮮やかな紅葉のトンネル。


美しい紅葉と本堂の瓦屋根。


赤や黄のグラデーションも美しい。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 石峯寺 |
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所在地 | 兵庫県神戸市北区淡河町神影110-1 |
問い合わせ先 | 078-958-0822 | 石峯寺 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | http://13butsu.com/temple/007.php |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/石峯寺_(神戸市) |
食べログ | - |
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