行願寺(革堂)
ぎょうかんじ(こうどう) □京都府京都市
市民の敬愛を集めた、皮上人のお寺。
御詠歌では「こうどう」で馴染んでいたので、このお寺が行願寺ということは西国三十三所巡礼を始めてから知りました。第19番の札所で、唯一の尼寺です。地図などで見ていても、他の霊場と比べてもずいぶん小振りなお寺だなと思っていましたが、実際とてもこじんまりと、控えめな雰囲気があり、それはそれで心が穏やかになるものがあります。肩ひじ張らずに、こちらに寄り添ってくれる安心感というようなもの。その理由とはー。
この境内で感じる、不思議な安心感。
寺町通りに建ち並ぶ店舗や住宅に紛れて、それらと変わらない間口で革堂の山門が佇んでいます。門をくぐって20mほど先には、もうそこに本堂があります。本堂は狭い境内に相応しくないくらい堂々たるもので、歴史が染み付いた重厚な褐色をしています。立ち昇る線香の香りが秋の風に舞い、本堂の周りに漂っています。
革堂の創建は1004年。千年以上の歴史がある古刹ですが、戦乱などでたびたび火災に遭い、何度も場所を移りながら現在の地に至ったそうです。いつの時代でも人々の厚い信仰心が、決して革堂を絶やしてはならぬという気風を作ってきました。それはどこか、私がこの境内で感じた安心感に通ずるところがあるのかもしれないと、ふと思います。そう思わせる何かが、きっと革堂にはあるのです。
決して驕ることなく、他者を慈しむ心。
なぜ「革」堂なのか。それを知ることはひとつの答えになりました。この行願寺を始めたのは行円上人という僧でした。ある時、子を身ごもった母鹿を射止めてしまい、そのことを後悔した上人は母鹿を憐れんでその毛皮を常に纏って布教したそうです。人々からは皮上人と敬愛され、行願寺もいつしか革堂と呼ばれるようになったそうです。決して驕ることなく、他者を慈しむその心は人々の信心をつなげ、この現代にまで続いてきたのではないか。そんな気がしました。それが今も革堂を満たす優しい空気なのだと。
革堂では今も地域の猫に寝ぐらや餌を与えているそうで、「猫の寺」とも言われています。猫好きの私はそれも楽しみにしていたのですが、残念ながらこの日は猫には会えませんでした。でもそんなところも、革堂が愛される所以なのだなと思えたのでした。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 行願寺(革堂) |
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所在地 | 京都府京都市中京区行願寺門前町17 |
問い合わせ先 | 075-211-2770 | 行願寺(革堂) |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | https://kaudau.jp/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/行願寺(革堂) |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298564-d3751633-Reviews-Gyogan_Temple-Kyoto_Kyoto_Prefecture_Kinki.html |
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