壽ビルディング
ことぶきびるでぃんぐ □京都府京都市
過ぎた時間は今も必ずどこかに、その存在を残している。
京都の繁華街のひとつ、四条河原町。その交差点から河原町通を南へ少し下ったところに、毅然として古めかしい、小さなビルがあります。開け放たれたビルの入口も小さく、頭上の館銘板には右から壽ビルデイングと書いてあります。最初読めなかったのですが、「壽」はことぶきと読みます。そういえば祝い箸に書いてあったなと思い出します。壽ビルディングは、うっかり通り過ぎてしまいそうになるくらい、でもひっそりとしているわけではなく、ただ自然体で街に佇んでいます。
通好みな美しさを秘めた、レトロ建築。
ビルの竣工は1927年。そろそろ100歳を迎えようとしているレトロ建築です。鉄筋コンクリートの5階建。外観はそれほど装飾されているわけではありません。シンプルに石が貼られたり、適度なアールが加えられたり。表面に派手さはないものの律儀で清廉なデザイン、1枚めくったところに鋭いこだわりがあるような、通好みな美しさを秘めた建物です。
話題のショップが入り、新しい感性も生まれる。
1階のホール、入口間際にモザイクタイルの床を通り、すぐ脇に壽ビルディングの歴史を物語る展示ブースがあります。建造時のビルの備品や素材が展示され、長い年月の欠片を感じることが出来ます。すぐに階段があり、最上階まで続いています。手摺が程よく経年美化を果たし、ひんやりとしたコンクリートの空間に温かみを与えています。こういう雰囲気、個人的に最も美しいと感じる空間です。過ぎた時間は、今も必ずどこかにその存在を残しているのです。
壽ビルディングの1.3.4階には、人気デザイナーのブランドショップが入っています。5階にはマニアに密かな人気を集める絵本専門店、ギャラリーなどがあります。東京青山で人気の雑貨店、tobichiも出店してきて注目されているフロアです。2階は一般の事務所、こんなところで働けたらいいなと、羨ましい限りです。
優しい空気は、時間の空調設備のせい。
最上階から階段を降りて、全ての階をくまなく歩きました。同じに見えて、各階を満たす雰囲気が微妙に違います。ショップの雰囲気が違うとか、そんなことではありません。レトロな窓から差し込む光の量が違うのか、3mずつ違う標高が影響しているのか。ほんとにちょっとずつなんですが、5階分それぞれの個性を感じながら歩きます。不思議な感覚でした。結局何が違うのか、今でも分かりません。不思議。
共通して言えるのは壽ビルディングの内部を、とても優しい空気が満たしていることです。これは年月を経たものにしか出せない、言うならば時間の空調設備。登録有形文化財にも指定された今、この古いビルはしっかりと新しい時代にもフィットしています。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 壽ビルディング |
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所在地 | 京都府京都市下京区市之町251 |
問い合わせ先 | 075-344-3502 | 壽商事株式会社 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | - |
wikipedia | - |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298564-d8285480-Reviews-Kotobuki_Building-Kyoto_Kyoto_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 202007 |
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