六波羅蜜寺
ろくはらみつじ □京都府京都市
彫像史上の傑作が集結する、町に埋もれた古刹。
西国三十三ヶ所のお寺である六波羅蜜寺。親しみを込めて「六はらさん」と呼ばれます。他の札所と比べると境内は小さく、住宅街に忽然と現れるように街へ溶け込んでいます。まるで学校のように鉄のゲートと柵で囲われた境内は、1000年以上を誇る寺の歴史とはやや不釣り合いです。近代的な鉄筋コンクリートの建物があったり。しかしこの場所に秘められた歴史的な意味は厚く、教科書にも出てくるような仏像、彫像があることでも特に有名です。梅雨の晴れ間で蒸し暑さが一層際立った午後、これで20札目となる御朱印をいただきに訪れました。
圧倒的な写実に、空也上人の今を感じる。
六波羅蜜寺の創建は951年、醍醐天皇の息子でもある僧・空也上人によるものです。空也上人は高貴なる僧というよりも、自ら市中に分け入り民衆の悪疫退散を果たしたという、いわば大衆派の僧侶。一心に南無阿弥陀仏を唱え、いつも市民のそばで伝道に励んだので、人々は空也上人を「市の聖」と呼んだといいます。
そしてその上人が今にその姿を見せるのが、かの有名な空也上人立像です。有料の宝物館に展示されています。裸足にわらじを履き、右手には撞木、左手には鹿の角がついた杖を持ち、まさに市中を歩いて念仏を唱える姿が迫真の表現力で再現されています。そしてこの像の特異性を決定づけるのが、上人の口から出ている六体の小さな仏像です。初めて見た時は、歌を歌った音符のようにも見えます。南無阿弥陀仏の6文字を仏像で表現されているといいます。一度見たら忘れない、独創的な世界観。このオーラというか存在感というか、それは想像をはるかに超えるものがあります。目の前にしているのは、今もまだ変わらずに仏道に励む空也上人そのものなのだと感じずにはいられません。
強力な布陣で並ぶ、仏像のオールスター。
また宝物館には他にも多数の彫像が展示されています。そのほとんどが重要文化財だという、まるでオールスターのような布陣。空也上人の隣には、一時期この辺りを根拠地とした平家、平清盛坐像。誰もがどこかで目にしたことがあろう、まさにその実物です。この2人の並びは豪華。歴史の教科書を斜め読みするようです。さらに髪を手にして「髪掛地蔵」とも呼ばれ今昔物語集にも登場する地蔵菩薩立像。また巨匠運慶の作とされる地蔵菩薩坐像、さらに運慶坐像と湛慶坐像の父子が並びます。圧巻のラインナップ。
もうひとつは本堂内に鎮座する本尊、国宝の十一面観音像です。高さ約2.6mある巨大な立像ですが、12年のうち辰年にしか開帳されない秘仏だそうで、この日見ることは叶いませんでした。しかし伝承では空也上人作であり、実際にこれを車に乗せて市中を行脚したと言われるもの。
六波羅蜜寺の歴史の厚みを、実感する。
ということで、まさに日本の彫刻史上稀有に貴重な文化財が集積している六波羅蜜寺。しかし本堂も立派なもので、鮮やかな朱を纏った外観は周辺の町並みにあって際立ちます。堂内は厳かな雰囲気に満ち、別次元の時間が流れているようです。実は幾多の戦乱に巻き込まれてきた寺でもあり、南北朝時代に再建された本堂。それでもすでに600年以上が経っているのですから、六波羅蜜寺の歴史の厚みを実感します。京都のお寺って、ほんとに奥が深いです。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 六波羅蜜寺 |
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所在地 | 京都府京都市東山区 大和大路上ル東 |
問い合わせ先 | 075-561-6980 | 六波羅蜜寺 |
休業日 | 無休 |
料金 | 宝物館/大人:600円、高校生・中学生:500円、小学生400円 |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | https://www.rokuhara.or.jp/ |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/六波羅蜜寺 |
食べログ | - |
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