ヤセの断崖

「ゼロの焦点」の舞台として有名な、寂寥とした断崖。

松本清張原作の小説「ゼロの焦点」。昭和36年封切り、そして平成21年にもリメイクされた映画版のロケ地として有名なヤセの断崖。映画では悲劇のヒロインが終幕でこの崖から身を投げます。まさにそんな衝撃を連想するような、ヤセの断崖は不思議な怖さを感じさせる場所。高さは約35m、水泳の飛び込み台みたいに、日本海に付き出すような形をした崖です。ヤセの断崖と呼ばれるのは、そこに立った時に、怖い思いに身が痩せることからだそう。確かにそれには納得で、こんな所に立つのは考えるだけでも足がすくみます。

映画「ゼロの焦点」で衝撃のラストシーンが撮影された場所。高さ35mの断崖絶壁。

遠近感もよく分からないほど広大な、日本海の海原。

2007年の能登半島地震によって幅10mに渡って崖が崩落したため、付近には柵が設けられているので、残念ながらその舞台に立つことはできませんが（できたとしても相当に怖いはず）、柵の中から眺めるだけでも十分にその様子を観察できます。まさに台のようになった崖の縁の向こうには、遠近感もよく分からないほどの日本海の海原が待ち構えています。
訪れた五月でも吹き付ける風は強く、夕方を迎える少し冷たい空気が体を湿らせます。やがて迫りくる夕闇に備えるように、あたりの木々はじっとしていて、寂寥とした雰囲気がとても印象的でした。

日本海からの波と風による侵食と風化で、周辺には荒々しい岩壁の景色が見られる。

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