西土佐村山村ヘルスセンター

満天の星に会える、野外活動の記憶よみがえる宿。

四万十川とその支流・広見川が合流する江川崎地区。川の東畔には四万十・川の駅カヌー館があり、キャンプ場やバーベキューサイト、ロッジやテニスコートまで揃い、川のレジャーに最適の環境が整っています。その東側の丘陵地の一番高いところには、西土佐村天体観測所という小さな天文台があります。そこでは定期的な観測会なども行われるように、この山里は夜空が美しいことでもよく知られています。
その天文台のすぐ下にあるのが西土佐村山村ヘルスセンター。比較的安価な費用で宿泊でき、カヌーイストやアユ釣りの人々がよく訪れるそうです。外湯として解放されている温泉もあるので、週末はけっこうな人で賑わいます。

photo_by_Kuruman_CC_BY_2.0_from_flickr.com

カヌーイストやアユ釣りの人々がよく宿泊したという。（2017年に閉館）

夏の大三角形がぼんやりと姿を現し、夜が始まる。

施設に関しては消灯時間があったり、トイレが共用だったりと、学校の野外活動で訪れたようないかにも一昔前の研修所みたいな雰囲気。それはそれで少し懐かしい感じもして面白いものですが、今回この施設に泊まって体験したかったものが、満天の星なのです。ここ旧西土佐村は、美しい星空が見える里として有名。近くに天文台が置かれているのも、星空がよく見えるが故なのです。
夕方見たのは、鮮やかなピンク色の夕暮れ雲。山々に切り取られる狭い空で短い時間、精一杯に燃えた雲が闇に飲み込まれたあと、夜空は徐々にその正体を現します。柔らかく透明な夜風が吹き、夏の大三角形がぼんやりと姿を現し夜が始まります。22時、周辺の街灯ほとんどが消されたら、待ちかねた星々が一斉に解き放たれ、その全貌をさらけ出しました。

目の前に迫る山々の風景が美しいロケーションだった。

夜空に架かる天の川、無数に散らばる光の粒。

夜空を堂々と横切る天の川。無数に散らばる光の粒は、まるでシャンデリアのように煌めいていて今にも降ってきそうなくらいです。途方もないこの宇宙の中で、偶然にも地球に届いた無数の光。地面に寝転んで、どこかも分からない天球の頂点を見つめていると、ひとつまたひとつと流星が銀線を引き、残像となって瞼に映されます。普段ならすぐに見つかる星座が、あまりにたくさんある小さな星々のせいでなかなか見つけられない贅沢な星空でした。
鈴虫の音、コオロギの音が一面に響き、初秋の少し肌寒い夜でしたが、目が離せなくなった天球観測はいつまでも続きました。

近くに天文台があるように、星空がとても美しい場所だった。

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