那佐湾

不思議な魅力がある、隠れた絶景スポット。

全国からサーファーが集まり、世界的にも知られたサーフポイントでもある徳島南部の町、海部。そこから南へ少し行ったところに、ちょっと変わった湾があります。那佐湾というその湾は太平洋から鋭く切れ込んだとても細長い形をしていて、湾口の幅500mほど。陸から平行して突き出した那佐半島との間にほぼ一直線の棒状に、約3kmほど入り込んでいます。一見するとまるで川や運河みたいなんですが、自然が造り出したれっきとした湾。江戸時代には太平洋を行き交う船が、風待ちのための待機に使ったんだとか。

太平洋から鋭く切れ込んだ細長い湾。那佐半島との間でほぼ一直線に約3kmほど入り込んでいる。

ターコイズブルーに輝く海面が美しい。

湾内は穏やかな雰囲気に満ちている。

ターコイズブルーの水面が、とても鮮やか。

那佐湾の直線的な形にそって国道55号線が走っていて、車窓から見える不思議な地形に思わず車を降ります。湾の中央付近まで伸びるコンクリートの桟橋があります。今はもう使われていないのか、入口はブロックで車止めがしてあり、船や人が使った雰囲気が感じられない、少し寂しげな面影を持つ桟橋です。
その桟橋を歩いて、先端に立ちます。その日は風がかなり強く、太平洋に面した海岸には高い波が打ち付ける天候でしたが、この那佐湾は小刻みな波が立っているもののとても穏やか。ターコイズブルーの水面が鮮やかです。湾口の方を眺めると、両脇の小高い丘が門のように太平洋に向かって構えていて、向こうには美しい水平線が望めます。

何かの象徴のように佇む小さな桟橋。ノスタルジックな光景が、ターコイズブルーの海と対比を描く。

鄙びた桟橋から望む景色は、心を静かに動かす。

湾内の堤防には釣り人、西日に煌々と照らされた那佐湾に向かって竿を投げています。この辺りではヤリイカとかキスがよく釣れるのだそうです。湾の一番奥には、一の島という小さな島が浮かんでいて、印象的な光景が広がります。
ガイド本などで紹介されることはほとんどないですし、知らないと簡単に通りすぎてしまいそうな場所ですが、桟橋から望む景色はとても美しいところです。旅を急いでいる時でも、少し立ち寄ってみることをおすすめする、隠れた絶景ポイントでした。

桟橋からの景色は絶景。東側の湾口の方を見れば、空と同じくらい青い海。左右の山に切り取られた太平洋の水平線。

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