諏訪崎

落日に燃え上がる、宇和海に胸を焦がす。

港町の情緒あふれる八幡浜の町から、つり竿を伸ばしたように突き出た諏訪崎。ここには諏訪崎全体を敷地として、「自然休養林諏訪崎」という公園が整備されています。
岬の先端まで約2kmの遊歩道沿いには、桜やツツジ、アジサイや椿など、それぞれの季節を彩る花々が咲き誇ります。自然に囲まれながら所々には芝生の広場があり、ピクニックやキャンプなど家族連れにも人気のスポットです。突端には宇和海を望む展望所があり、漁業の町・八幡浜らしい魚霊塔も建てられています。

宇和海に突き出した岬に豊かな自然が育つ公園だが、訪れる人は多くない。静かな内海の風景を堪能できる。

入江に現れた、火柱のような光の帯。

ここを訪れたのは７月も終わりの夕暮れ時。とても暑かった一日をバイクで駆け抜け、火照った体に涼を与えようと、公園の中でも一番涼しそうな場所でぼんやりとひと休みしました。
その場所から見下ろすのは宇和海の隅っこにある小さな入江。ちょうど黄金色の夕陽が落ちてきて入江の中で細長く反射し、火柱のような光の帯を作りました。入江の向こうには佐田岬半島が横たえ、眩しい黄金のスクリーンにくっきりと漆黒のシルエットを浮かび上がらせています。
金箔をキャンバスに夕暮れの海辺を絵描いたような、どこを見ても輝いていた、それは劇的な光景でした。すると夕日の火柱を一隻の漁船が横切り、さらにドラマチックな風景に。それは今でも鮮明に瞼に焼き付いている、忘れられない黄昏の思い出となっています。

鏡のように凪いだ海面に、夏の夕陽が黄金の柱となって映り込んでいた。

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