伊東・富士宮焼きそば

全国区となった、名物B級グルメの名店。

富士宮市では町おこしの一貫として、2000年に「富士宮やきそば学会」というプロジェクトが始まりました。それは昔から富士宮で食べられていた、ちょっと特徴のある焼きそばを「富士宮やきそば」という名物として全国にアピールしようというもの。そしてその試みは見事に成功し、一時の大ブームを経た今も、たくさんのファンが訪れています。
富士山の裾野に位置する富士宮市内には、100以上もの焼きそば店があって、駅前にはアンテナショップがあり、通りにはトレードカラーのオレンジ色をした学会ののぼりが目立ちます。今回は郊外の人気店、伊東を訪れました。

素朴な味の向こうに、見え隠れするこだわり。

店内は昔手を引かれて行った近所のお好み焼き屋みたいな、どこか懐かしい雰囲気。真ん中には大きな鉄板があり、それを囲むようなカウンター席でいただきます。目の前で店の主人が手際よく焼きそばを仕上げていく様を、興味深く観察します。
富士宮やきそばの大きな特徴である、まさに山盛りの刻みキャベツが迫力満点です。そばの方が少ないくらいの量のキャベツは、たっぷりのラードで炒め始めるとみるみるうちにコンパクトになり、主役を麺へとバトンタッチ。肉かすや豚バラを含めて焼き、最後に目玉焼きを。そしてとどめに鰯の削り粉。
数種類をブレンドしたという特製のソースが絶妙の甘辛さで、そこにたっぷりキャベツの甘味。アクセントに鰯粉と青粉が風味を添え、確かに普段食べる焼きそばとは一線を画す一品です。コシの強い麺のしっかりとした食感もまたよし。素朴な味の向こうに見え隠れするこだわり、そして地元の方々から支持される愛着が感じられる一皿でした。

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