南寺
みなみでら □香川県香川郡直島町
漆黒の暗闇の中で、やがて見つけたものとは。
直島の家プロジェクトのひとつとして、1999年、安藤忠雄氏の設計で建築されました。昔は実際に南寺という寺があり、明治時代に取り壊された後も、直島の人々はその場所を南寺と呼んでいたそうです。新たに造られた建物はギャラリーですが、焼杉板を用いた黒い外観は町並みに溶け込み、かつてと同じように南寺と名付けられました。
南寺の内部に展示されているのは、ジェームズ・タレルの作品「Backside of Moon」。この作品の面白さはなんといっても人間の視覚を利用した「仕掛け」です。
かつて寺があったという敷地には、1棟の建築物とその中に作品が1点。斬新な仕掛けに目を奪われる。
闇の中では、自分の存在が確認できない。
係員にオリエンテーションを受けたあとに連れられて南寺に入ると、中は正真正銘の暗闇。これはもう今まで体験したことのないような真の暗闇です。まるで月の裏側で井戸に入って蓋をされたような、完全な漆黒の世界。普段の生活の中で、本当の暗闇というもののを経験していなかったことに気付かされます。目を確かに見開いているんですが何も見えず、手を開いて結んでみても、ただ感触があるだけで、その動きを確かめることもできません。目が見えなくなってしまったのか、あるいは自分はちゃんと存在してるのか、それさえ疑ってしまうくらい本当の暗闇とは人を不安にさせます。
photo_by_TakeshiFujisawa_CC_BY-SA_2.0_from_flickr.com
焼杉板を用いた黒い建物の中には、想像を超える作品が待っている。
それはとても冒険的で、感動すら覚える体験。
でも10分くらい目を開いてじっと待っていると、やがて闇の中に何かが浮かび上がってきます。次第に目が暗闇に慣れてきて最初はぼんやりと、やがてじわじわと見えてくるのはおぼろげに輝くひとつの光のスクリーン。それが見えるようになると、もう歩くことだってできます。ウスバカゲロウのような頼りなく淡い光でも自分が照らされていることが分かります。あれだけ完全な闇だったのに、今は思うように動くこともできるのは不思議なものです。目が慣れるのを待つ間の期待と不安が入り混じった時間、やがて光を感じることが出来た安堵や開放感。とても冒険的で、感動すら覚える体験を味わうことができます。
まるで月の裏側で井戸に入って蓋をされたような、完全な漆黒の世界。やがて光を感じることが出来た安堵や開放感。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 南寺 |
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所在地 | 香川県香川郡直島町本村 |
問い合わせ先 | 087-892-2887 | ベネッセアートサイト直島オフィス |
休業日 | 月曜日 |
料金 | 1000円(15歳以下無料) |
駐車場 | なし |
公式サイト | http://benesse-artsite.jp/art/arthouse.html#ieproject3 |
wikipedia | http://ja.wikipedia.org/wiki/家プロジェクト |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1121428-d1867094-Reviews-Art_House_Project-Naoshima_cho_Kagawa_gun_Kagawa_Prefecture_Shikoku.html |
LAST VISIT | 200703 |
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