松阪城跡
まつさかじょうせき □三重県松阪市
梶井基次郎の名作、「城のある町にて」の舞台。
梶井基次郎の代表作「城のある町にて」の舞台になっている城跡です。二の丸跡にはその文学碑も建てられています。
「私はおまえにこんなものをやろうと思う。一つはゼリーだ。ちょっとした人の足音にさえいくつもの波紋が起こり、風が吹いて来ると漣(さざなみ)をたてる。色は海の青色で——御覧そのなかをいくつも魚が泳いでいる。」
実は個人的にこの短編小説がとても気に入っていて、ここを訪れる前にもう一度読み直したんです。その中に登場する城を舞台にしたいくつものシーンが印象的で、その基次郎ワールドを体現すべく、五感のアンテナを張って訪問しました。
1591年に四五百森(よいほのもり)に築かれた平山城で、日本100名城に選ばれている。城域には豊かな植生が見られ、まるで森の中にいるかのよう。
石積みに染み入った、ストッコチーヨ。
城の中に入るといくつかの坂道、石段を上っていき、迷路のように美しい石垣が、行く手を遮るのを楽しみます。ちょうど真夏の暑い日で、木々の緑がとても綺麗な、グリーンのセロファンを通したような木陰で休みながら、松阪城跡をめぐります。もちろん大正時代の、基次郎の世界のかけらを探しながら、です。エンジンのような動きをする法師蝉が「スットコチーヨ」と鳴いた桜の木。涼しそうな緑の衝立の蔭に見つけた立派な井戸。城の本丸で主人公がいつも座ったベンチ、その後ろにあった楓樹。本丸の電灯に照らされ魚鱗のような光を放った樹。
往時の建物はないが、豪壮な石垣が見られる。月見櫓跡には、お目当てだった梶井基次郎文学碑と檸檬の木がある。
基次郎の残像だけではない、松阪城跡の本懐。
基次郎的な残像を追い求めて妄想のままに城跡を散策したんですが、特に石垣の美しい城跡でした。極端に整備されたわけでなく、自然に年を重ねたような、それでいてとても強固でしっかりとした造りに見えます。全てを悟った老人のしわのような、深くしっかりとした城跡です。すぐ麓には御城番屋敷があり、城下町の気風溢れるゾーンになっています。
松阪に来るなら、松阪牛のガイド本と、そしてぜひ梶井基次郎の本を片手に訪れてみてください。松阪城跡が10倍面白くなりますよ。
「城のある町にて」の世界観、小説を読みながらイメージしていた情緒がそのまま感じられた。梶井基次郎と見た、松阪城跡の追憶。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 松阪城跡 |
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所在地 | 三重県松阪市殿町 |
問い合わせ先 | 0598-53-4406 | 松阪市商工観光課 |
休業日 | 年中無休 |
料金 | - |
駐車場 | 敷地内駐車場あり |
公式サイト | - |
wikipedia | http://ja.wikipedia.org/wiki/松阪城 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1019676-d1369526-Reviews-Ruins_of_Matsusaka_Castle-Matsusaka_Mie_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 200507 |
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