深山第一砲台跡
みやまだいいちほうだいあと □和歌山県和歌山市





時が止まっている、廃墟の砲台跡。
以前に友ヶ島の砲台跡群を見て以来、今までに見たこともない強烈な印象が残っています。今の時代には考えられないような、まさに別時代の別世界でした。砲台施設の規模もさることながら、戦争というものを怖いくらい肌で感じた特別な体験でもありました。
しかし友ヶ島に船で渡らなくても、同じような体験が出来る場所があります。それが今回ご紹介する、深山第一砲台跡です。友ヶ島からは目と鼻の先、加太の町の北、海に突き出した山の上にあります。

レンガ積みで造られた、大規模な砲台跡。
休暇村紀州加太に向かう急な坂道の道路脇に、数台停められる駐車場があります。看板などはないので分かりにくいのですが、そこが深山第一砲台跡への入口。ここから10分ほど深い森の道を歩いたところに突然レンガ造りの要塞が現れます。それは友ヶ島で見たものと同じように、全てがレンガ積みで造られた大規模な砲台跡。友ヶ島、淡路島の由良町と合わせて整備された由良要塞の一翼で1897年に建設されたものですが、見事なまでに原型のまま残されています。それはまるで時が止まったかのよう。いきなり圧倒される異様な雰囲気の中で、深山第一砲台跡の散策を始めます。

薄暗い地下に潜む、3つの弾薬庫。
まず一番先に現れたのは、遊歩道から地下に降りる階段。降りるとレンガが積み上げられた高さ3mほどの壁に守られた、「く」の字に曲がった地下通路があります。天井はないので上からの光は差し込んでいますが、さらに上に生い茂る森のせいでわずかな明るささはかありません。そこにあるのは、3つの部屋。それは皆同じような構造をしていて、レンガの壁とアーチ状になった天井。ここは弾薬庫です。薄暗い地下に潜む、頑強な構造物。いきなり押し寄せてくる、迫力の光景です。反対側にも階段があるので、そこから地上へ戻ります。

敵艦隊を迎え撃つ、28センチ榴弾砲の砲座。
そこには二手の分かれ道があります。左側へ進むと、砲台跡があります。アーチ型のトンネルが2つあり、それらに分けられた3つの広場があります。そこにそれぞれ2門、全部で6門の大砲が据えられていたそうです。大阪湾に侵入した敵艦隊を迎え撃つ、28センチ榴弾砲。今は円形の砲座だけが残されていますが、勇壮な大砲を想像すると自分が戦争映画の中に入り込んでしまったかのような錯覚さえ覚えます。

弾薬を守る、地下世界の強固な要塞。
2つのアーチ型のトンネル部分は、地下が弾薬庫になっています。トンネルで守られるようにして地下へ続く階段、その下にはそれぞれ2室の頑丈な倉庫。大切な弾薬を守る、地下世界の強固な要塞。しかし我々人間もまた、守られている安心感を感じます。一部のレンガは風化しつつあり、廃墟という感じもまた趣きがあります。友ヶ島で見たラピュタのような世界が、確かにこの場所にもありました。友ヶ島に渡る時間がない時でも、同じ感動は味わえると思います。

展望台から望む、紀淡海峡の爽快な眺望。
ところで先の分かれ道を右側に進んだ先にあるのが、紀淡海峡の大パノラマが素晴らしい展望台です。標高は120mほどあって、爽快な眺望が楽しめます。手前に友ヶ島を構成する地ノ島、沖ノ島(神島、虎島は小さすぎて見えません)が見下ろせます。その向こうには雄大な海原と、頻繁に行き交う船。さらに向こうには、淡路島が水平線いっぱいに続いています。こうやって見ると、淡路島の大きさに驚かされます。
やや春霞に邪魔をされていましたが、神戸方面の陸地もぼんやりと見て取れました。そしてたぶん、ここからの夕日は格別だろうと思います。いつか黄昏時に再訪してみたい展望台です。

photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 深山第一砲台跡 |
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所在地 | 和歌山県和歌山市深山 |
問い合わせ先 | 073-459-0321 | 休暇村紀州加太 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | 無料駐車場 |
公式サイト | ー |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/由良要塞 |
食べログ | ー |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298204-d26831806-Reviews-Miyama_1st_Gun_Battery_Site-Wakayama_Wakayama_Prefecture_Kinki.html |
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