まるやま中華そば・和歌山ラーメン

正統派車庫前系、飾らない本物。

1960年創業、和歌山ラーメンの老舗です。和歌山城から国道42号線を南へ車で数分。アクセスのよい場所にあります。駐車場は店の裏手にありますが、いつもほぼ満車。でも地元ナンバーの車がほとんどで、私のような観光客よりも地元の方々の割合の方がずっと多い印象です。
それは店内も同じで、店を仕切る女将さんとの会話や、お客さん同士が顔見知りだったりするのを見ていると、このお店が観光的なキャンペーンには載っていないのが敢えてのことなのかなという気がしました。

黄色いメニュー札、スイープ運針の壁掛け時計。

店内はたぶん昭和の時代から何も変わっていないであろう、ノスタルジックですが活気にあふれた、昔ながらのラーメン屋さんといった雰囲気。カウンター席に加えてテーブルが3台ありますが、そのうちのひとつには四角いおでん鍋が置かれています。これぞ和歌山ラーメン店。その横に少し空いたスペースでも、お客さんがラーメンをすすっています。壁には黄色いメニュー札、その横にはスイープ運針の壁掛け時計。何もかもが1960年から変わっていないように思える、素敵な空間です。

深みのある醤油味と、豚骨のコク。

中華そばとチャーハンのセットで注文しました。あとでおでんにすれば良かったと少し後悔。でも大食漢ではありませんので、おでんはまたの機会があれば。
まるやま中華そばの和歌山ラーメンは、いわゆる「車庫前系」。豚骨ベースですが、あっさりめで醤油味が前に出てくるスッキリとしたスープです。深みのある醤油味が、食欲を盛り立てます。しかしその奥には豚骨のコクがしっかり楽しめます。麺は中細のストレート麺、具にはチャーシューとネギ、メンマ、かまぼこと、和歌山ラーメンの王道鉄板のラインナップが嬉しいです。メンマは細切りで、歯ごたえシャキシャキで旨いです。全体的にライトな感じなので、食べ終わっても驚くほどスッキリしています。

和歌山ラーメンの、本物の姿を見る。

それにしても、まるやま中華そばの地元感はすごいです。店主に「おいっすー」と言いながら入店すると、他愛もない地元の日常会話が続いたり、あるいは全てを知っているので時間をかけずにサッと食べて出たり。食べ方も身に染みついているというか、卓上にある生卵、早寿しもまるで調味料のように何気なく手に取って食べられています。この店では和歌山ラーメンの本物の姿を見ているような気がします。だから一層、美味しく感じられた逸品でした。

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