萌黄の館
もげいのやかた □兵庫県神戸市
軽快で優美なデザインと、圧巻のサンルーム。
神戸北野エリアの中心にある北野町広場。その北側には異人館の中でも特に有名な風見鶏の館。そして西側にあるのが今回ご紹介する萌黄の館です。重厚感のある風見鶏の館とは対照的に典型的なコロニアル様式で、軽やかで爽やかさを感じる外観デザイン。また外壁の淡いグリーンの色合いは特徴的で、萌黄の館と呼ばれる所以です。
風見鶏の館と同様に、国の重要文化財に指定されています。この2館はセットになった入場券があり、必ず両方とも見学していきたいスポットです。
別世界を感じる、内部の優雅な空間。
萌黄の館は木造の2階建て。1903年に建てられた古い洋館で、当時のアメリカ総領事ハンター・シャープという人物の邸宅として使われていました。なので別名は旧シャープ住宅。またその歴史的な価値から国の重要文化財にも指定されている名建築です。
風見鶏の館が小さな玄関であるのと対照的に、萌黄の館は玄関前の広々とした開放的なテラスが目を引きます。ここで靴を脱いでから、館内に入ります。玄関ホールに入ったとたん、その優雅な空間に酔いしれます。正面には階段があり、左手に応接室、右手には食堂があります。いずれも近代ヨーロッパを彷彿とさせる内装で、豪華な暖炉や家具、また美しい模様の壁紙など、ため息が漏れてしまいそうです。まさに別世界に入ってきた感じ。
格式高い部屋に入る光は、光景に臨場感を与えて。
階段は途中で2方向に枝分かれして一方は浴室に、もう一方は2階の各部屋につながります。それぞれの部屋はまるで今でも住人がいるかのように生き生きとしています。格式高い雰囲気に満ちて、またその家具や調度品にはちょうど窓から西日が差し込み明暗を作り出し、光景に臨場感を与えています。風見鶏の館と比べて内装が豪華なので、光のコントラストで浮かび上がる雰囲気もまた違ったものがあります。
それらの居室の間の廊下を歩いた先にあるのが、萌黄の館のハイライト、南側のサンルームです。
神戸の街並みを望む、贅沢な南面のサンルーム。
建物の南面いっぱいに広がるサンルーム。高台にあるので2階でも神戸の街並みを十分に見渡せます。一面に続くガラス窓、腰板や窓枠は外観と同じ淡いグリーン。その古い感じとか軋む床、幾何学模様の窓飾り、赤い絨毯。まさに格別の装いで、ここにしかない唯一無二の優雅さに満ちています。そしてサンルームの中央には、なぜか和風の釣灯籠がひとつ。この斬新な組み合わせに、興奮も最高潮です。
実は萌黄の館、ハンターの後には日本人実業家が長らく住んでいたそう。また元々の設計者であるA・N・ハンセルは、洋風建築の中へ絶妙に和の意匠を取り込むことを得意としていた方。だから館内には随所に和洋折衷の要素があるのもまた、この洋館の大きな魅力なのです。
庭に突き刺さる、煙突の謎とは。
余談になりますが今は淡いグリーンの外壁、1987年までは白くて、「白い異人館」と呼ばれていたそうです。当時の修繕工事中に元々は白くなかったことが分かり、その時に今の色に塗り替えられたのです。なので萌黄の館と呼ばれるようになったのはそれ以降。120年の歴史の中では、わりと最近のことなのです。
館の西側には小さな庭があります。そこにも和風の石灯籠があったり。庭先に潤いをもたらす植物たちもまた見応えがあります。そして庭の片隅には、ひっくり返ったレンガ造りの煙突が無造作に置かれています。実はこれは元は館の屋根にあったもの。1995年の阪神淡路大震災で壊れて落ちた、そのままの状態で保存されているのです。長い歴史の中で、神戸の街にも館にも多くのことが起こったことを知らせてくれる、貴重な煙突なのでした。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 萌黄の館 |
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所在地 | 兵庫県神戸市中央区北野町3丁目10-11 |
問い合わせ先 | 078-855-5221 | 萌黄の館 |
休業日 | 2月の第3水曜およびその翌日 |
料金 | 大人:400円、高校生以下:無料 |
駐車場 | - |
公式サイト | https://www.kobeijinkan.com/ijinkan_list/moegi |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/旧シャープ住宅 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298562-d1384599-Reviews-Moegi_no_Yakata-Kobe_Hyogo_Prefecture_Kinki.html |
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