雪鯨橋(瑞光寺)
せつげいきょう・ずいこうじ □大阪府大阪市
日本で唯一、鯨の骨でできた橋。
日本百名橋にも選ばれた雪鯨橋は、日本でこの橋だけにしかない特徴があります。日本には全部で70万もの橋がありますが、その中でも唯一この橋だけが持つ特色があるのです。それは、クジラの骨で出来ている橋であること。白いクジラの骨が、そのまま橋の名前になっているわけです。それを知った瞬間に、一体どんな理由で、また実際にはどんな造りで橋が架けられているのか興味が湧いてきました。幸いなことに普段の生活圏からはほど近くにあり、さっそく訪ねてみました。
雪鯨橋が初めて登場するのは、1756年。
雪鯨橋は大阪市東淀川区にある、瑞光寺というお寺の境内にあります。上新庄という学生も多い下町風の街で、ひっそりと佇むお寺です。団地と幹線道路と電車の高架に囲まれ、一見こんなところにありそうにない場所に境内があります。しかも地域の公園の中に、隠れるようにして。初めて訪れるときは、近くまで来ても迷ってしまうくらいです。寺伝では聖徳太子による創建と伝わるらしいですが、詳しいことは分かっていません。しかし17世紀には確実に復興しており記録があるみたいで、雪鯨橋が初めて登場するのは1756年のことでした。
受け継がれた感謝、今の雪鯨橋は7代目。
当時の瑞光寺の住職であった潭住という人物が、今の和歌山県太地町で漁民に与えた加護に対して、クジラの骨をお礼として譲り受けたことに端緒があるそうです。当時は橋の全ての部分にクジラの骨が使用されていたといわれます。ある時代から橋自体は石造りとなりましたが、欄干は変わらずクジラの骨が使われ、その後何代にも渡り同じかたちで架け替えられ現在に至ります。最新では2019年に新たなクジラの骨を使って架け替えられ、今の雪鯨橋は7代目になります。
欄干の手すりは、巨大な下アゴ骨。
雪鯨橋は瑞光寺境内にある弘済池を跨ぐようにして架かっています。池には頭上にクジラの骨があることも知らない様子で、錦鯉や亀が優雅に過ごしています。現在の雪鯨橋は、欄干がクジラの骨で作られています。欄干の手すりは巨大な下アゴ骨。触ってみるとかなり硬く、感覚的には木材のようです。しかし色とか形とか、やはり骨です。ただこれが想像以上に大きくて、2本の骨が継がれていますが橋全体の長さと等しいのです。1本3mくらいあるんじゃないでしょうか、アゴだけでこれほど大きいとは…。また欄干の意匠になっているのは扇型の肩甲骨です。左右に3枚ずつ。橋の先端には脊髄の骨が飾りとして使われています。
地元では、「くじら橋」と呼び親しまれる。
瑞光寺の入口には「鯨橋瑞光寺」と彫り込まれた石柱が立っています。地元では「くじら橋」と呼び親しまれています。石柱のすぐ先には山門として、左右にクジラの骨がゲートのように立てられています。これも下アゴ骨。あらためてクジラの大きさを想像させるものです。その左手の空き地には何枚もの扇型の肩甲骨が無造作に置かれています。差し替え用の予備なのでしょうか。
お寺自体はそれほど特筆するものはなかったのですが、この雪鯨橋は非常に見ごたえがありました。この橋がもう270年も続いていることにも驚きます。長さは6mほどの短い橋ですが、他のどこにもない唯一の橋。骨なので風化や劣化が早いので、架け替え後まだ間もない今が見学のチャンスかもしれません。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 雪鯨橋(瑞光寺) |
---|---|
所在地 | 大阪府大阪市東淀川区瑞光2丁目2-2 |
問い合わせ先 | 06-6328-3831 | 瑞光寺 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | - |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/瑞光寺_(大阪市東淀川区) |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | - |
LAST VISIT | 202208 |
※掲載のデータは当ページ更新時点でのものです。以後の変更や詳細な情報につきましては、ご自身でお問い合わせの上ご確認いただきますよう、あらかじめご了承ください。