室生寺
むろうじ □奈良県宇陀市
美しき光景に満ちた古刹、別名「女人高野」。
普段の生活でも冬の訪れを近く感じるようになる頃。室生の山深くにある小さな小さな門前町は、紅葉狩りの観光客でちょっとした賑わいを見せます。そこは標高400mの山中。普段暮らす街よりも、ずっと前から冬の気配を蓄え始めています。川の水も谷間の空気も、そして山々の緑も、夏秋に比べるとどこか色を失いかけていて、その中で室生寺の紅葉は際立って美しく見えます。
清流・室生川に沿ってカーブを描く参道には、名物草餅や、吉野の葛製品を扱う土産物屋が立ち並びます。店頭の蒸し器から立ち昇る湯気が、季節が変わりつつあることをより一層感じさせます。人の流れに沿って歩き、真っ赤な太鼓橋を渡ると、室生寺の境内が広がります。
室生寺を象徴する国宝の五重塔。800年に建立された、五重塔として日本で2番目に古い。まさに究極の美。
紅葉の美しさでも有名な室生寺。
境内には神秘的な雰囲気が漂う。
歴史的に価値のある堂宇が、境内に目白押し。
女人禁制の大峰山に対して、「女人高野」とも呼ばれた室生寺。室生山の急峻な山肌に広大な敷地を持ち、歴史的に価値のある堂宇が点在します。創建は奈良時代の末期。800年頃に建立された国宝の五重塔が最も有名でしょうか。高さ16mほどあるものの日本最小の五重塔だそうで、小振りな感じが周囲の木立に囲まれている様子は趣きがあります。また平安時代に建てられたという国宝の金堂では、国宝や重要文化財の仏像が5体並び壮観な眺め。他にも本堂や弥勒堂など、情緒ある建物群が訪れる者を魅了します。
平安時代に建てられたという国宝の金堂では、国宝や重要文化財の仏像が5体並ぶ壮観。
「常灯堂」にあった閻魔大王の奉納額。
奥の院にある「七重石塔」。
紅葉と、古びた堂宇とのコントラストが美しい。
室生寺の紅葉は、圧倒的なボリューム感で迫ってくるような感じではありません。山を包む森にお堂が点在するように、種を蒔いたところに花が咲いたように、要所要所でその艶やかな姿を見せてくれます。濃い緑の中にパッと目の覚めるような色が散りばめられ、古びた堂宇とのコントラストは美しいものです。
五重塔からさらに奥に歩みを進めると、室生寺のもう一つの横顔を見ることができます。ややなだらかな起伏を越えて土の参道が続いたあと、そこから始まるのはとんでもなく急な石段。余計な計算などせず、ただ山に従って作ったというような急峻さで、これを最後まで上るのがかなり足にくるのです。逆に下りになるとまるで崖を下りていくような感覚。高所恐怖症の人だと震えてしまうかもしれない眺めなのです。
山懐に抱かれた室生寺は「女人高野」とも称され、その険しさは女人禁制の大峰山と比べられた。
1308年建立、本堂である国宝の「灌頂堂」。
深く色付いた紅葉が美しい。
個性的な堂宇、厳しく豊かな自然。
石段を上りきった所は、奥の院と呼ばれる場所。これが室生寺の最深部、弘法大師を祀る御影堂があり、真言密教の重要な聖地のひとつとされています。かなり上ってきたにもかかわらずそれほどの眺望は開けないんですが、御影堂の回廊でひと休みしていると心が落ち着き、深い山懐に独特の風や音を感じられます。
想像しているより壮大で、そして風情に溢れている室生寺。個性的な堂宇、厳しく豊かな自然、そして鮮やかな紅葉。それらに全身を包まれ、自分についた余計な物事を洗い流していけるような、懐の深い寺院でした。
五重塔から先には奥の院まで続く、「鎧坂」と呼ばれる400段の石段がある。
かなり急な石段で、息を切らして登る。
まさに山岳寺院といった趣き。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 室生寺 |
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所在地 | 奈良県宇陀市室生78 |
問い合わせ先 | 0745-93-2003 | 室生寺 |
休業日 | 無休 |
料金 | 拝観料 大人(中学生上)600円、小人(小学生)400円 |
駐車場 | 有料駐車場 |
公式サイト | http://www.murouji.or.jp/ |
wikipedia | http://ja.wikipedia.org/wiki/室生寺 |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g1022867-d1382936-Reviews-Muroji_Temple-Uda_Nara_Prefecture_Kinki.html |
LAST VISIT | 201411 |
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