満幸商店・しらす丼

新鮮な魚介類を楽しめる、アットホームな食堂。

鯛の一本釣りで有名な和歌山・加太港。活気ある港町の一番奥にある淡嶋神社の、鳥居のたもとにある食堂です。三軒ほどが軒を連ねる中、明らかに飛び抜けて繁盛しているお店が満幸商店。最近ではテレビの取材も多く、その人気はうなぎ登りです。
店内はいたって普通の、いわば高架下にある大衆居酒屋のような雰囲気。それに加えて港町の気質というか、店員さんにも活気もあってとてもアットホームな感じです。とくにもはや満幸商店名物ともいえる女将さんがいて、機関銃のようなおしゃべりが人気です。しかも芸人も真っ青な面白さ。そんなこともあり、料理を待つ間も店の中を観察してるだけで楽しめます。

オバQ顔負け級山盛りの釜揚げ、しらす丼が名物。

今回いただいたのは、この店の名物のひとつ、しらす丼。4パターンのサイズがあり、一番大きな「トリプル」は通常の9倍もあるのですが、その「ノーマル」でさえ、見たらビックリの巨大な山盛りなのです。オバケのQ太郎が大好きな山盛りのごはん、まさにあのビジュアルです。その大きさのことは事前にリサーチしていたので、この度はノーマルで注文。
食べてみて、特筆すべきはその見た目ではなくて、味にあることはすぐに分かります。とても新鮮なのでしょう、釜揚げにされたしらすは、驚くほど柔らかいのです。噛む前にほぐれていくような、優しい優しい食感にまずひとつ、うなづいてしまいます。そして絶妙な塩加減で茹でられているため、しらす本来の旨みと甘みが存分に楽しめること。とがった苦味や魚臭さなどは一切なく、しっかりしたコクとほのかな甘さがすっきりと味わえます。丼というわけなので、暖かい白飯と一緒に食べると、しらすの旨みがまた一層濃く感じられ、温と冷のコントラストも加わり、この相性がたまりません。そして横に添えられた特製の醤油ダレをかけると、そこにいい意味でのパンチが加わって、また違った味を楽しめます。全然飽きがこないのです。何度も繰り返し訪れるリピーターも多いそうですが、全くもって合点がいく話。一度食べるとやみつきになる丼です。

もうひとつの名物、「わさびスープ小鍋」。

実は後日知ったのですが、満幸商店の本当の名物は「わさびスープ小鍋」なるメニューなのでした。ついついしらす丼のインパクトだけに目が行ってしまっていて後悔。このわさびスープ小鍋は、加太港の名物である一本釣りされた鯛のアラを、丸一日煮出したスープ。わさびの茎と葉をみじん切りにしたものが別皿にあり、それをスープに入れていただくというものです。一鍋ずつコンロで温めながらいただくので、冬の寒い時期なんかにはまた格別かもしれません。
また満幸商店の人気の理由として、とにかく豊富なメニューがあります。店内の壁にはギッシリとメニューが並んでいて、どれも加太港で水揚げされる新鮮な魚介類を使った料理の数々。手頃なコース料理もあるし、とにかく全部の料理のボリュームもあり、サービス精神も賑わいもあり。まさに港町の食堂のお手本のようなお店でした。

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