愚陀仏庵

静寂の木陰に身を沈めて佇む、漱石の侘住居。

現在は松山城の麓、萬翠荘の裏手の森の中に、静寂に身を沈めて佇んでいる愚陀仏庵。市中とは思えない静けさの中、優雅な雰囲気を纏って建っています。以前は町中にあったのですが、戦時中に焼失し、現在の場所に移して再建されたものです。
愚陀仏庵はかつて、夏目漱石が松山に教師として赴任した時の住まいでした。その名は夏目漱石の俳号・愚陀仏に由来します。正岡子規も一時身を寄せたこともあり、１階に子規、２階に漱石が暮らしたこともある文豪の香り高き建物。あの「坊っちゃん」も、ここで過ごした日々を元に生まれたものです。

苔むした庭に佇み、萱葺き屋根の小さな家屋。

しっとりとした深緑の木々に囲まれ、苔むした庭に佇み、萱葺き屋根の小さな家屋。通り雨が上がったばかりで、生き生きとした緑は一層鮮やかさを増し、古めかしい黒褐色の建物とのコントラストを際立たせます。それでもなお、愚陀仏庵は景色の中にしっくりと馴染んでいて、落ち着いた侘の世界を現出していました。

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