萬翠荘

貴人の社交場として愛された、大正時代の洋館。

萬翠荘は松山城の南麓に静かに佇む古い洋館です。大正時代の1922年に建てられたもので、当時ヨーロッパでも一世を風靡したアールヌーボーの作風。豪華な大広間やハワイへ注文して作らせたという美しいステンドグラスに彩られ、当時最高の社交場として著名人を集めました。その華やかな歴史の名残はしっかりと感じられ、大正ロマンの世界を今もこの場所に生き生きと見ることができます。ロココ様式の外観はもちろん、瀟洒なエントランス、天井の高い廊下に続き、各部屋にも闊達で明るくも優雅な大正モダンのエッセンスが随所に感じられます。

ふと眠りに誘われそうな、心地よい空間。

photo_by_LisaPinehill_CC_BY-SA_2.0_from_flickr.com

側にあった赤い革張りのソファに身を沈めると、開けられた金枠の小窓から入ってくるささやかな風を感じることができました。雨の降ったあとの森から香る独特の瑞々しさを含んだ、しっとりと涼しい微風。ふと眠りに誘われそうな心地よい空間。なんだかとても贅沢な。
今もコンサートや展示会の会場として利用することもでき、市街地の喧騒が嘘のように静かな萬翠荘は今も昔も変わらず、新しい文化の発信地、交流の場として活躍しています。

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