生の松原
いきのまつばら □福岡県福岡市
長い歴史を、今につなぐ松原。
佐賀県唐津までの切符を買って、博多駅から電車に乗っていました。地下鉄からやがて地上に出てきて、徐々に都会の景観が変わってゆくのを車窓に見ていました。そんな中、突然目に飛び込んできたのは青く美しい海と、鮮やかな濃緑が美しい松原。まだまだ唐津は先ですが、思わず途中下車しました。駅は下山門駅。知らない駅なので地図で見てみたら、博多駅からまだ1/4程度しか進んでいません。しかしこの駅で降りたのは正解でした。しかもかなりの正解。そこは日本の白砂青松100選にも選ばれている、生の松原でした。
博多湾では、唯一残された松原。
生の松原は博多湾西部に位置する、面積約40ヘクタールの松原。砂浜と一緒に、東西約1.6kmに渡って弓形状に続いています。かつては博多方面の百道や箱崎にも美しい松原があったそうですが、いずれも都市化の波に消え、博多湾では唯一残された松原となっています。江戸時代から明治時代に植樹されたクロマツが多かったのですが、昭和後期に松枯れの被害で激減。しかし20万本の植樹でなんとか松原を守ったそうです。元は神功皇后が三韓出兵の時に立ち寄り、この木が生きて育てば成功すると祈って植えた松の木が無事育ったため、「生き」の松原と言われるようになったのだとか。長い歴史を今につなぐ松原でもあるのです。
美しい海と空、そして赤い鳥居。
さて、駅から真っ直ぐに海へ向かう道があったので、歩いてみます。すぐに左右に松林が広がります。木漏れ日の中を海へまっすぐ歩くと、車が行き交う道路と少しの住宅街があります。その住宅街を抜けると、あとはもう自然しかない世界になります。松林の中を一本の道が伸びていて、その先にぽっかりと空いた穴のような隙間から、美しい海と空が見えます。さらにそこには赤い鳥居が建っていて、とてもシンボリックな光景です。頭上からは聞きなれない野鳥の声が聞こえます。あまりに印象的な光景で、胸が高鳴る瞬間でした。
巧みに描かれた、絵画のように。
つまり鳥居をくぐればその先には、白砂青松の絶景が待っています。砂は想像よりずっと白くてサラサラしています。そして南からの太陽を浴びた博多湾の美しさ。青い海、青い空、弓状のちょうど真ん中あたりになるこの場所からは、右を見ても左を見ても美しい砂浜と松林が弧を描いて続いています。深いブルーの博多湾には、手を伸ばせば届きそうなほど近くに能古島が浮かんでいます。遠くには志賀島も。また左前方には玄界灘に突き出した糸島半島の起伏が見え、全体としての風景はまるで巧みに描かれた絵画のように美しいバランスです。思わず声を上げて見惚れてしまう、生の松原の絶景。さきほどの野鳥の声に、打ち寄せるさざなみの音がオーバーラップします。瞬時に心が癒されてゆく、まさに珠玉の風景を堪能しました。
観光客も少ない、穴場的なスポット。
生の松原の素晴らしいところは、人がほとんどいないことです。日本の白砂青松100選に選ばれているからといって、わざわざここを訪ねてくる観光客はほとんどいないようです。だから松原も砂浜も、海も空も何もかもが汚れずに美しさを保っています。絶景を眺める時も、写真に収める時も、誰にも邪魔されずに楽しめます。まさに穴場的なスポット。だけど先にも述べたように、見られる景色は特別素晴らしいものです。途中下車して、本当によかったなとつくづく思うわけです。
防塁の石積みや、壱岐神社も見どころ。
また生の松原には他にも見どころがあります。元寇を防ぐために築かれた防塁の石積みが今も残り、また神功皇后が植えたとされる枯れ松が残る壱岐神社も見ごたえがあるスポットです。
そして生の松原は美しい夕日が見られることでも知られています。海岸線は地図上で見るとやや西を向いていて、糸島半島の向こうに太陽が沈むとすれば、この絵画のような風景がよりフォトジェニックになることは容易に想像がつきます。今回は昼間の訪問でしたが、ぜひまた見に来たいと思います。なにせ、博多駅から地下鉄直通で20分少しで行ける絶景なのですから。
photo.
アクセスマップ
詳細情報
名称 | 生の松原 |
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所在地 | 福岡県福岡市西区生の松原 |
問い合わせ先 | 092-762-6696 | 生の松原海水浴場 |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | - |
wikipedia | https://ja.wikipedia.org/wiki/生の松原_(福岡市) |
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