菖蒲池
あやめいけ □奈良県奈良市
四季と日々の移ろいを、静かな水面に移して。
子どもの頃、毎年楽しみにしていた思い出の場所、近鉄あやめ池遊園地。奈良ドリームランドと双璧をなす遊園地で、春はあやめ池、秋はドリームランドに連れて行ってもらいました。分厚いアルバムにも、あやめ池遊園地の写真はたくさんあって、そこにはいつも幸せそうな家族の姿が写っています。菖蒲池という歴史のあるため池を中心に取り囲むような園内、池の上を走るコースターや、規模は小さいけれど象がいた動物園が好きでした。懐かしい思い出は今もじんわりと心の奥底から引き出すことができます。
あやめ池遊園地の面影を、どこかに感じる。
そんなあやめ池遊園地が閉園したのは2004年。以来一度も訪ねたことがなかった菖蒲池を、約30年ぶりに訪ねてみました。正直なところ思い出の場所が無くなったことで少なからず残念な気持ちになるかと思っていましたが、実際に訪れてみるとそうではなく、幸せな気持ちになれました。それはまず菖蒲池が今も大切にされていることが感じられたから、そして実体はないけれどそこにあやめ池遊園地の面影を感じられたからです。なんというか、特別な想いに浸れた時間だったのです。
1.3kmの遊歩道、「あやめ上池水辺遊歩道」。
あやめ池遊園地の跡地は、住宅と学校を中心に再開発されました。駅を降りると綺麗なロータリーがあり、そこには大きなシンボルツリーが出迎えてくれます。菖蒲池の周囲は、一周約1.3kmの遊歩道「あやめ上池水辺遊歩道」が整備されています。歩いてみると、とてもとても気持ちのよい遊歩道です。沿道に連なる木々が、どれも15年そこらの樹齢ではないようです。古びた幹の桜並木、空を刺すように高いメタセコイア、深いシワを付けたクヌギ、縦横自在に枝を踊らせるクスノキ。
じわじわと浮かび上がる、思い出の一片一片。
どれも時を重ねて初めて見せる表情をしています。歩いている途中に見た看板に記されていました、そう、これらの木々は遊園地時代のものをそのまま育てているのです。それを知ったとき、どこか込み上げるものがありました。これらの木々は、私のまだ子どもだった頃を知っている木々なのです。桜の前で撮った家族写真、あの桜はまだ菖蒲池のほとりで花を咲かせ続けているのです。真夏の照りつける太陽は、老木にしてなお瑞々しい木々を明るく輝かせています。そしてじわじわと浮かび上がる思い出の一片一片を照らし、明らかな感情として目の前に見せてくれます。とても幸せな、遊歩道散歩。水面に咲く睡蓮の花が、ひっそりと祝福してくれているようでした。
オススメは、「いろどりの森公園」。
遊歩道には随所にベンチが設置されていて、市民の憩いの場に。また池の北側にある「いろどりの森公園」は、岬のような場所に美しい森に包まれた広場があり特にオススメです。私のように個人的な思い入れがなくとも、菖蒲池の美しさは素晴らしいものがあります。四季と日々の移ろいを静かな水面に移して、菖蒲池は訪れる人々を癒してくれるはずです。
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アクセスマップ
詳細情報
名称 | 菖蒲池 |
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所在地 | 奈良県奈良市あやめ池北1丁目 |
問い合わせ先 | - |
休業日 | - |
料金 | - |
駐車場 | - |
公式サイト | - |
wikipedia | - |
食べログ | - |
トリップアドバイザー | https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298198-d15512427-Reviews-Shobu_Pond-Nara_Nara_Prefecture_Kinki.html |
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