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大安寺 大安寺

大安寺

だいあんじ □奈良県奈良市
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隆盛を極めたかつての大寺は、今静かに時を刻む。

大安寺

JR奈良駅から南へ数km。市街地の賑わいもこの辺りまでは届かず、周辺にあるのは長屋などの古い住宅と田畑。駅の東西が観光業を中心に開発されているのに、南側はすぐに田舎の風景が広がります。訪ねた季節は真冬。奈良の冷たく乾いた空気が、収穫も終わり置き去りにされた田畑にどっしりと腰を据えています。
どこか物悲しい風景。大安寺も、その場所にあります。鄙びた景色の中でも、さらに孤独にぽつねんと佇んでいます。そして大安寺が辿ってきた歴史もまた、そのように切なく儚いものなのです。

かつて、南都七大寺に数えられた大寺。

大安寺

大安寺がこの地に置かれたのは平城京遷都の後ですが、もともとは617年に聖徳太子が現在の大和郡山市に開いた小さな堂がはじまりと伝わります。その後、何ヶ所かに移りそのたびに改称されてきたのですが、今あるこの地に移された時に、大安寺と称されることになりました。
「南都七大寺」と呼ばれる、奈良でも特に隆盛を極めた寺を指す言葉がありました。東大寺、興福寺薬師寺元興寺法隆寺西大寺、そして大安寺。うち5寺は世界遺産でもあるし、西大寺は大茶盛が非常に有名なお寺ですから、今奈良を訪れる観光客にとってもなじみ深いのですが、実は大安寺も南都七大寺に数えられる大寺であったのです。

田園風景の中に、馴染むことを選んだ。

大安寺

当初、境内の大きさは15haほどもり、壮大な伽藍であったと言われ、七重塔が東西に2本そびえていたそうです。特徴ある伽藍配置は「大安寺式伽藍」とまで呼ばれ、多くの僧が集まり隆盛を極めました。奈良時代から平安時代前期までは、二大巨頭でもあった東大寺、興福寺とも肩を並べる勢いであったそうです。奈良出身の私からすると、この2寺に並ぶとはどれくらい凄いことなのかがよく想像できます。
でも、今は。それはもう見る影もなく、小さな一寺へと変わり果てているのです。何も知らずに横を通ったら、何も知らないままどこかへ行ってしまうでしょう。大安寺はこの田園風景の中に、見つからないように馴染むことを選んだのです。

盛者必衰の理が、ここにもある。

大安寺

大安寺は平安時代に火災にあい、主要な堂塔の大半を失いました。その後も断続的に衰退し、領地も失い、ほぼ全ての建物が失われました。現在は小さな敷地に、再建されたいくつかのお堂が並ぶのみ。盛者必衰の理が、ここにもあるのです。
ただ、その喪失感は、幾分和らいでいるのではないでしょうか。実は大安寺を訪れたきっかけは、家族の健康祈願のためでした。大安寺は「癌封じ」のお寺として有名なのです。幸い、そのご利益があり、病気は全快しました。お礼参りにも訪れました。本当にありがたい経験でした。同じように、健康祈願や癌封じのお寺としてお参りする人々は少なくなく、境内には寂寥感はありません。
このくらいがちょうどいいのだ、自らがこの運命を選んだかのように、大安寺の境内にはどこか安心感とか、優しさみたいなものが流れていた気がします。

photo.

アクセスマップ

詳細情報

名称 大安寺
所在地 奈良県奈良市大安寺2丁目18−1
問い合わせ先 0742-61-6312 | 大安寺
休業日 12月30~31日
料金 -
駐車場 無料駐車場
公式サイト http://www.daianji.or.jp/
wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/大安寺
食べログ -
トリップアドバイザー https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298198-d1385970-Reviews-Daianji_Temple-Nara_Nara_Prefecture_Kinki.html
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