クルスの海

願いが叶うという、海の十字架。

日向岬の近くにある小さな展望台から眺めると、岩礁の隙間を埋める海の部分が十字に見えることから、その名所はクルス（ポルトガル語で十字架という意味）の海と呼ばれています。このあたりの海岸線を形作る柱状岩のテーブルが東西200m、南北220mに渡って裂けて、そこに海水が流れ込んだもの。偶然にも美しい十文字に型どられ、不思議な景観となっています。
展望台は高台にあるので、もちろん太平洋の大海原の眺望を楽しむことも出来ます。夕方を迎えつつある青空は、昼間と違ってどこか落ち着いた青色をしています。凪いだ海は空の雲を水面に映し込んでいます。そんな平和な景色が広がる中で、穏やかに存在感を見せる海の十字架を眺めていると、安らかな気持ちに満ち、しばらくはとりとめのない思いをめぐらせ、その時間を楽しみました。

美しい景観と、ロマンチックな偶然。

またこの展望台には「願いが叶うクルスの鐘」と呼ばれる鐘が置かれていて、鳴らしながら祈ると願いが叶うと言われています。というのも展望台から眺めるクルスの海の向こうには小さな入江があって、それを「口」の字とすると合わせて「叶」に見えてくるという。首を右に90℃傾けると、なるほどそのように見えます。美しい景観とロマンチックな偶然が幾重にも重なったクルスの海。どこまでも広がる大海原と豊かな表情を見せる日向岬、そして展望台にいる人々の心を繋いでくれます。

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