曼殊院

名勝の枯山水庭園と、深紅の紅葉。

比叡山の西麓にある天台宗の寺院で、枯山水の庭園で知られています。門跡寺院といって、皇族が代々の門主を務めていた別格の寺院でした。また北野天満宮ともゆかりが深く、近世末期までは曼殊院の門主は北野天満宮の別当を兼ねていたといいます。宗祖最澄によって8世紀に比叡山に建てられた一坊がはじまりで、1656年に現在の場所に移されました。
そんな由緒ある曼殊院のハイライトは、なんと言っても晩秋の紅葉。麓から続く雲母坂を歩くと、左右から覆い被さるように頭上に広がる楓が鮮やかです。風が吹きはらはらと葉が舞い落ちるのは、赤い夜空から赤い星がはがれ落ちてきたような素敵な光景です。

古都の建築と晩秋が、ぎゅっと詰まった寺院。

境内に入ると、大書院、小書院、あるいは八窓軒といった風趣あふれる建築が、紅葉した楓の深紅の世界にコントラストを作り出しています。大書院は柿葺きの堂々とした住宅風の建物。本尊の阿弥陀如来立像が安置されていて本堂とも呼ばれます。その各部屋にある狩野探幽の障壁画は必見。小書院にも狩野派の障壁画があり、見事な庭園と合わせて珠玉の風流に身を浸せられます。境内はそれほど広くはないですが、名勝の枯山水と深紅の紅葉、まさに古都の秋がぎゅっと詰まった寺院でした。

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