大名古屋ビルヂング

時代の波に消えても、記憶に残る名建築。

名古屋の玄関口、JR名古屋駅を降りてすぐ目に入るのが大名古屋ビルヂング。かつて屋上にあった回転する球体の広告看板がユニークで、当初から開業した地下の飲食店街も人気があり、長年に渡って市民に親しまれたビルです。それに個性的なビル名。建物に掲げられたビル名を表す文字は時代を感じさせる書体で、そんな細かなひととつひとつの部分に、どこか温かさのようなものを感じるビルです。
駅の正面・桜通口を出ると、ロータリーの中心にあるモニュメントを挟んでどかんと視界に飛び込んできます。東海道新幹線が開通してまもなく、1965年に完成した古いビルで、横幅が長くどっしりとした佇まいと、角が少なく曲線を配した形状が特徴的。駅前の広々としたロータリーにぴったり寄り添い、モニュメントと絶妙に息が合ったコンビネーションで絵になるビルです。

名古屋名物でもあった、屋上の球体ネオン広告。

名古屋名物でもあった屋上の球体ネオン広告。それは今はもう撤去されていますが、その下では大名古屋ビルヂングの代名詞的存在、ビアガーデン・マイアミが営業しています。夏期限定でビル完成時から50年近く、名古屋の夏を涼しくしてきました。850席という名古屋最大のビアガーデンで、他の追随を許さない規模と存在感で愛されています。
特に観光名所でもなく、あくまでオフィスビルではあるんですが、駅を降りてすぐ視界にあるこのビルを見ると、また名古屋にやってきたことを実感します。ちょっと懐かしく古い時代を感じさせる大名古屋ビルヂング。しかしこのビルにも、とうとう時代の波が押し寄せました。

そして今でも、大名古屋ビルヂングは時の使者。

名古屋駅のツインタワーをはじめ、目まぐるしく発展し高層ビルが林立するようになった名駅エリア。その中でも大名古屋ビルヂングは時の使者としてひとり、昭和の雰囲気をまとい街を見守り続けてきました。でも相次ぐ再開発計画に肩を並べるように、2009年に建て替えの計画が発表されました。2015年、この場所に新しく生まれるのは、地上38階、高さ190mという立派な超高層ビル。なんだか寂しい気持ちになりますが、人々に長く愛されたビルです、どこかにその面影が残されたら…。そんな仄かな望みを持って、生まれ変わる駅前を見ています。

アクセスマップ

詳細情報