松ぼっくり・うなぎ料理

パリッとした焼き加減が、やみつきになる鰻重。

三重県はウナギの消費が盛んで、毎年一人あたりの年間消費量が全国トップレベルなんだそうです。なるほど県内各地にはそれぞれの町を代表するようなウナギ料理の名店が点在し、地域によって調理方法にも若干の違いなんかも見られ、それらを感じながら店々を巡るのも楽しいものです。
今回は中勢・明和町にある有名店、松ぼっくりを訪ねました。国道23号線から海側に逸れ、伊勢湾を囲む背の高い堤防の脇にお店があります。「うなぎ料理、つり天国、松ぼっくり」。一瞬頭が混乱するようなロードサイドの簡素な看板に導かれ車を停めると、店の前に広がるのは、なんと釣り堀。ウナギを養殖でもしているのかと思ってしまいますが、鯉が泳いでいて、尾びれにリボンが付いていたら釣り堀が無料になるか、うなぎ弁当がもらえるのだそう。

メニューはうな重、肝吸い、うざくの定食のみ。

さて、本業の外観はどこかの牧場の厩舎みたいな素朴な佇まい。県内外から松ぼっくりファンが訪れるだけあり、店内は広く、座敷には大きなテーブルが並びます。サルノコシカケの置物や、大黒様の大きな木彫りがあり、田舎の大きな邸宅に来たみたい。混み合っていましたが、予約しておいたので首尾よく予約席に。メニューは定食のみで、あらかじめ注文していた「上定食」をいただきました。いくつかの種類がありますがウナギの枚数とご飯の量が違うだけで、基本的には全ての定食にうな重、肝吸い、うざく、漬け物が付いてきます。

甘めのタレと、やや焦げの香ばしさが絶妙に融合する。

松ぼっくりをはじめ、この近辺のウナギの蒲焼きはじっくりと炭火で焼かれます。ここは特にワイルドな焼き上がりで、表面にはこんがりとしたほのかな焦げがあり、香ばしくて美味。皮もパリっとした食感があるまでしっかり焼かれています。それに余分な脂を落としているのでとてもヘルシー。甘めのタレとやや焦げの香ばしさが絶妙に融合し、口の中に旨味が広がります。またタレの量もちょうどいい具合で、ご飯の味がしっかり生きている感じ。
焦げる直前ギリギリのラインまで焼いたウナギといい、なんというかこれ以上でもなくこれ以下でもなく、まさに絶妙なレベルで仕上げている印象。一心不乱にかき込んでしまいたくなる旨さですが、松ぼっくりだからこその絶妙うな重を、ひと口ひと口、敢えてゆっくりと楽しみました。

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