旧福岡県公会堂貴賓館

きゅうふくおかけんこうかいどうきひんかん　□福岡県福岡市

優れた意匠性が魅力、明治の木造洋館建築。

福岡の繁華街である天神と中洲。その2つのエリアに挟まれた、三角州に広がるエリアがあり西中洲と呼ばれます。かつては西中洲と天神にまたがって存在していた福岡県庁が1985年に移転した際、その敷地にあって唯一今に残された建物が旧福岡県公会堂貴賓館です。明治時代に建築された貴重な木造の洋館で、国の重要文化財にも指定されている歴史的建造物。今は天神中央公園の一部として親しまれて、多くの人で賑わう場所に建っています。

来賓を、手厚くもてなした貴賓館。

はじまりは1910年（明治43年）、九州沖縄八県連合共進会という会合が催され、来賓をもてなす場として福岡県によって建設されました。当時最もモダンと考えられる意匠性を重視し、木造であるけれど完璧な洋館を目指して建てられました。各地の要人を手厚くもてなした貴賓館でしたが、その後は公会堂として市民に開放され、戦後は裁判所や県庁舎として利用されました。最終的には建設当時の姿のままこの地に残り、明治時代の貴重な洋風建築として王子を偲ばせています。

木造ならでは質感や、クラシカルな雰囲気。

外観はとても特徴的。急勾配の屋根、ドーマー窓と呼ばれる屋根に設けた窓、建物の角にある塔、水平方向の線を強調している点など、フレンチルネサンス様式というデザインで設計されています。特に正面から見て左側にある八角形の尖塔は個性的で、この建物のシンボルになっています。昔から「チューリップ屋根の公会堂」と呼び親しまれてきた所以です。中央には石柱が支える屋根付きのポーチがあり、風格を漂わせています。木造であることから外壁には軽いモルタルが使われていますが、さまざまな工夫を凝らしてあたかも石造りであるように仕立てられています。フレンチルネサンス様式と言えばルーブル宮殿やフォンテーヌブロー宮殿が有名で、比べるとミニチュア模型みたいなものかもしれません。しかし逆に木造だからこその質感やクラシカルな雰囲気は、大宮殿にはない魅力です。

最重要の来賓を迎えた、絢爛豪華な貴賓室。

旧福岡県公会堂貴賓館は内部も公開されていて、非常に見ごたえがあります。まさに来賓をおもてなしするに相応しい設えで、訪れた者を別世界へ連れて行ってくれます。2階建ての貴賓館、1階正面には赤絨毯の階段室があり、廊下は左右に伸びて各室につながります。まずは2階へ上がってみます。階段を上がるとホール的な空間があり、左右の廊下から寝室、化粧室、談話室などがあります。
そして必見なのは貴賓室。最重要の来賓を迎える部屋で、すごく豪華。さらにあの塔がある部屋で、内部は一体となった空間になっています。塔部分は縦長の窓が天井付近まであり、ドーム状の天井には丸い天窓が8つ付いています。大理石の暖炉や折り上げ天井に描かれた絵など、貴賓ある設えや調度品が空間を煌びやかに仕立て上げます。

温もりと絢爛が、同居する空間。

1階には食堂、応接室、事務室などがあり、一部は「貴賓館カフェ」や展示コーナーとして使われています。カフェにはテラス席もあって優雅。また1階の階段室を奥に抜けたところには浴室など、生活に必要な諸室が設けられています。これらも全体的に優雅な装飾やいかにも洋館らしい設えがなされていて、温もりと絢爛が同居する空間となっています。また歩けば床が軋む音や、レトロな木枠のガラス窓から入ってくる公園のざわめきなんかが心地よく体に染み込んできて、ノスタルジックな気持ちを引き立たせます。周りにあった公共建物は全部なくなってしまいましたが、この旧福岡県公会堂貴賓館だけが残された理由。それは実際に訪ねてみるとよく分かるものでした。

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アクセスマップ

詳細情報

名称	旧福岡県公会堂貴賓館
所在地	福岡県福岡市中央区西中洲6番29号
問い合わせ先	092-751-4416 ｜旧福岡県公会堂貴賓館
休業日	月曜日、年末年始
料金	-
駐車場	有料駐車場
公式サイト	https://www.fukuokaken-kihinkan.jp/
wikipedia	https://ja.wikipedia.org/wiki/福岡県公会堂貴賓館
食べログ	-
トリップアドバイザー	https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g14127491-d10529251-Reviews-Former_Fukuoka_Prefecture_Public_Hall_VIP_Hall-Chuo_Fukuoka_Fukuoka_Prefecture.html
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