関門人道トンネル

海底を歩いて海を渡る、不思議な感覚。

関門海峡を渡るには、関門橋や関門トンネルが有名ですが、それらは人が歩いて渡れるものではありません。でも、ちゃんと歩いて渡れるように、自転車でも渡れるように、関門人道トンネルというのが密かに海の下を通っています。
宝物が隠された秘密の地下室につながるかのように、トンネルの入口は建物の中にひっそりと口を開けています。エレベーターで地下に潜り、直線の細いトンネルを歩いたあと、またエレベーターで地上に出ると関門海峡をパス。歩いたのは確かに自分なんですが、地底を歩いて海を渡るなんてなんだか不思議な体験。地上に出た時はさっきとは違う対岸の景色が目の前にあるわけで、初めて通る時はちょっとしたテレポーテーションをしたような面白い感覚になります。

780m、潔いくらい真っ直ぐなトンネル道。

トンネル内は幅が4mほどなので、どちらかと言えば狭く窮屈な感じです。潔いくらい真っ直ぐなトンネル道の長さは780m。山口県と福岡県の県境もその途中にあります。天井のさらに上には、実は車道の関門トンネルが走っていて、この人道トンネルもれっきとした国道２号線なんだそうです。完成したのは1958年。もう50年以上も前なんですが、それまでにも完成までに21年も要したそうです。
そんな関門人道トンネル、時代を反映するように、今ではウォーキングで利用する人も多いのだとか。夏は涼しいし、冬も暖かいし、風もなければ距離も分かりやすいですし。そんなトンネルがあることを、当地に行ってみて初めて存在に気づきましたが、いやはや、本当に現地の人々に役に立っているトンネルです。

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