オランダ坂

港町長崎の象徴、夕日に照らされる坂道。

長崎と言えばすぐに連想してしまうのはオランダ坂。長崎駅から路面電車に乗り継ぎ、大浦海岸通電停からは徒歩で1分ほど歩くと、オランダ坂と刻まれた石の道標が建ててあり、石畳の急な登り坂が始まります。一般的には、活水女子大があるこの坂が有名ですが、実はこの場所だけがオランダ坂と呼ばれているのではなく、小高い丘になった一帯をオランダ坂と呼ぶそうです。
いち早く開港した港町長崎には幕末から明治にかけて多くの欧米人が移り住み、かつてこの辺りが外国人居留地とされてました。当時オランダ坂のある丘を行き交う外国人たちは英国人が最も多かったそうですが、長崎の人々はすべての外国人を「オランダさん」と呼んでいたため、いつしかこの辺りはオランダ坂と呼ばれることになりました。周辺には当時を偲ばせる洋館やレンガ塀が今も残され、特に東山手洋館群など、西日を浴びる頃にはとてもノスタルジックな雰囲気に包まれます。

振り返ると、長崎の街全体を染めていたオレンジ色。

夕方、坂を登る自分の長い影が、僕を先導するように前方に伸びていました。オランダ坂がオレンジ色に染まり、夕陽に背中を押されるようにして歩きました。場所によってはわりと急な坂道になっているので、ゆっくりゆっくり、景色を確かめながら登ります。坂の途中には女学生らしき数人とすれ違う他に人影はなく、想像していたより静かで大人しい坂道でした。
登るにつれて濃くなるオレンジ色は、ふと振り返ると長崎の街全体を染めていて、息も詰まりそうなほど美しい世界が広がっていました。

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